*初めに、クジの解説をお読みください。
カップリングなどに地雷のある方、キャラ崩れなどが御嫌な方にはお勧めできません。
基本的には人名使用、解らない方はそこそこ解りそうな感じの名前を当てております。

『家族パロで三兄弟+夫婦』のお題のもと、クジに導かれた結果、
お父さん⇒アーサーさん
お母さん⇒ギルベルトさん
お姉ちゃん⇒ライナさん
お兄ちゃん⇒皆の親分アントーニョさん
弟君⇒皆のヒーローアルフレッドさん
となりました。
なんでクジ?と思われた方はまぁそんな気分だったということで。
ああ、出所は某動画ですね。と思われた方は、どうか通報などなさらないでくださいねー。
クジは管理人がノリと勢いできちんと引きました。某動画の投稿者様には一切の関連がございませんのでよろしくお願いいたします。

ノリのギャグです。
でも、とりあえずヒーローを自力で末っ子に引き当てた眉毛様と、意外と良妻になりそうなギルさん、ついでにデフォルトで兄貴とお姉ちゃんなお二人に拍手。
設定としては、現代っぽいどこか。
アサギルは共働き夫婦で、子供たちは上二人が高校生、下は中3でお願いします。
友情出演ルートおじさん(笑)とツインズ。ちびたりあはしゃべり方に悩んで別人になりました。





「ただいまー...って、誰もいないんだぞ」
バスケットシューズの袋と、登校に愛用している鞄を肩からおろして靴を脱ぎがてら家の中に呼び掛けても、誰の返事もなかった。
アルフレッドは現在中学三年生で、バスケ部の引退試合を目前と控え結構練習に忙しい日々を送っている。ヒーローと言えばバスケだ!を合言葉に(思い込みともいう)小学校からバスケットボールにいそしんでいるせいか、少しばかり周囲の男子たちよりも早い成長期ゆえ、伸びる背丈に最近家計を圧迫している今日この頃である。
何せ、ぐいぐい伸びるものだから、一年生の時に購入した制服では間に合わず、三年生にして新しく制服を買わざるを得なかった。ついでに、伸びる分食べる量も半端ないわけで、最近では「...俺はお前の胃袋をそろそろブラックホールだと思うことにした」と父親に沈痛な面持ちで言われるほどだ。
もちろん今日もそれは例外ではなく、帰りにチームメイトたちとマッ○によって来たにも関わらずそろそろ腹の虫は限界を訴えている。 毎日毎日口うるさく父親にしつけられた結果、無意識にまず体は自室に向かい、皺にならないうちに制服を脱いでハンガーにかけ、さっさと部屋着のTシャツとジーンズに着替えてしまう。
シャツを洗濯機に放り込んだところでようやっと、間食を漁りに一階の(アルフレッドの自室は二階にある)キッチンまで降りて、とりあえずラップがかかっている黒い物体は見なかったことにする。
ついで、その横に鎮座しているジャガイモを掴んでしばし沈黙。
「...生じゃ食べられないんだぞ」
ラップのかかっている黒い物体Xよりはよっぽど食材ではあるのだが、いかんせん調理しないでは食べられないものであるので、それについても食すのはあきらめることとする。
ガスコンロに薬缶をかけてお湯を沸かしながら、家族内通称『父コーナーと母コーナー』と呼ばれている収納棚のうち、『父コーナー』からコーヒーセットを取り出した。
アルフレッドの家では、父は紅茶派なのだが、母がコーヒー党なので、このようにコーナーが分かれているのだ。ちなみに、姉はそこそこ紅茶も飲むものの、真ん中の兄もコーヒー派なので最近父が寂しそうなのは気のせいでもないだろう。
湧いた湯でドリップ式のコーヒーを入れつつ、お菓子コーナーを漁ってクッキーをもさもさとつまむ。
一口に一枚と口うるさく言われるけれどもそんなの気にしない。自分ルールで口に入ればオッケーなので、あっという間に個分けパックは空になる。
ちょうど入ったコーヒーでクッキーを流し込んでいると、ばいんばいんという不可思議な効果音と、「ただいまぁー」と間延びしたようなのんびりとした声。
「おかえりー」
ばいんばいんという音が二階に上がっていったので(足音ではない、念のため)、一応声をかけてしばし、二つ目の個分けクッキーが無くなる頃に、ばいんばいんという音はこちらに向かってきた。
そして、予想通り、キッチンにショートカットにヘアバンドをしたやたらばいんばいんな(どこが、というとセクハラで)姉が(私服に着替えて)登場した。
ブラウスにズボンというシンプルないでたちは、平素あまり着飾らない姉らしいチョイスである。
...ちなみに、姉もまたアルフレッドと同様成長期のせいで制服を買い替えた経験者である。
(どこの成長かは言えない。...セクハラになるので)
両手に買い物の袋を持っているところをみると、どうやら今日は姉が食事担当らしい。
「今日はボルシチにしましょうねー」
早速腕まくりをして料理を作り始める姉を横目に、とりあえず小腹も満たされたアルフレッドは残りの個袋をひっつかみつつ、昨日ボス戦の前にセーブしたゲームでもやろうかなぁと思案して見る。
友人の菊に借りたゲームは実に面白く、ついつい宿題も忘れてやりこんでしまうのが最近の困り事だ。
が。
二階に向かおうとした足は、掴まれた襟ぐりで持って止められてしまう。
振り返れば、空いた片方の手で包丁を持った姉が困ったように笑っている。...包丁は、おそらく材料を切っているから持っているだけだと信じたい。
「駄目よぅアルフレッドちゃん。お洗濯物取り込まなくちゃあ。それに、ご飯前にあんまりお菓子食べちゃだめってお父さんとお母さんに言われてるでしょ?はい、それもだぁめ」
「...むぅ」
はい、ちょうだい。とかわいらしく差し出された手に大人しくクッキーを戻しておく。...おっとりしているように見せて、姉を怒らせると多分家族内で一番怖いと思っている。ので、基本アルフレッドは姉にだけは逆らわないようにしている。(本人には言わないけれども、多分真ん中の兄もそうであるはずだ)
...なにせ、 小さいころにさりげなく怒らせるたびにおやつを笑顔で強制没収してくれたのは紛れもないこの姉なのである...それ以来、身長をぬかしてもアルフレッドはどうにもこの人には強く出られない。
にっこにことした笑顔に、まぁ良いかと脱力してしまった。
と。
「たーだいまぁ!ほなロヴィ、靴脱ごかー」
「お邪魔するんだぞこんちくしょー!!」
「おじゃましまーす♪ねぇねぇ今日はパスタ?パスタ?」
「こらフェリシアーノ、靴を脱いだら整えろ!」
玄関から聞こえてくる騒がしい声に、きょとんと姉と二人で顔を見合わせた。
声の聞こえてきた方を廊下から二人で覗き込めば、真ん中の兄のアントーニョのゆるみきった顔と、対比的にいかめしい叔父の顔。それぞれの腕の中に、従弟の双子の兄弟の姿。
こちらが覗き込んできたのに気付いたとたん、ちみっこ二人が猛ダッシュでこちらに向かって走りこんできた。...とりあえず、アルフレッドは黙って姉の手から包丁を回収しておく。
ちょっと目を丸くした姉に、靴を脱いだ双子が突進して抱きつく。ばいーんと音がした。何がとは言わないが。きゃらきゃらと笑う従弟も抱きしめる姉も、ついでに双子を見て顔の緩んでいる兄も非常に平和な光景ではあるのだが。
きゃっきゃとはしゃぐ茶色い頭に、アルフレッドはとりあえずため息をひとつ。
「...俺は、二人の将来がちょっと心配なんだぞ」
「...最近とみに女性にばかり声をかけるようになってな...俺も非常に頭が痛い」
額を抱える叔父のルートに、無邪気な従弟がちょっと心配になってアルフレッドは呟いたのだった。


「おー、来てたのかルート」
「兄さん...邪魔している」
「邪魔してやってるぞこんちくしょー!」
「お邪魔してまーす」
「ああもうロヴィもフェリちゃんもかわええなぁ、ええ子やなぁ挨拶も完ぺきやでぇvvvvv」
叔父一家がやってきてしばらく、従弟と遊んでやっていたところでまず母であるギルベルトが帰宅した。
ケセセセセッ、という謎の笑い声と共に帰ってきた母に、三兄弟でお帰り―とあいさつ。
普段さりげなく一人さびしい人だが(色々タイミングが悪いのだ、色々と)、その分皆で出迎えると非常に解りやすくうれしそうなので可愛い人だと思う。
たまに、どこから連れてきてしまうのか頭に小鳥を乗っけて帰ってくるのだが、今日はどうやら彼(もしくは彼女。時々複数)は不在のようである。 母の実の弟であるルートが手を挙げて挨拶をしていた。この二人はとても仲が良い兄弟なので、こういう風に行き来はしょっちゅうなのだ。...父の兄弟とは雲泥の差である。(家族内において、非常なるNGワードだ。年賀状に“賀正”でなく“呪”と贈られてくるのはちょっぴり怖い。...が、毎年趣向を凝らしてくるあたり、実は意外と仲が良いのかもしれない)
それに、真ん中の兄であるアントーニョが双子を溺愛しているので、よく向こうの家で留守番の双子の面倒を見ていたりする。家もさほど離れていないので、交流はかなりある方だと言えるだろう。
(背広の上を脱いで早速冷蔵庫にビールを取りに走る母ににこやかに姉がチョップを入れていた。)
そして、ワンテンポ遅れて、「ただいまー」と父親の声。
「おかえりなさーい」
のんびりとした姉が父を出迎えて、ついでに冷えたビールを冷蔵庫に取りに行く背中が見えた。
実に気づかいのできる姉である。(父も叔父も母もビールをこよなく愛してやまないので、三人集まると景気よく開けまくる)お酒は夫婦が揃ってから。ここら辺も、一応の家の不文律(というか、これを守らないとしまっといたビールを飲んだの飲まないので夫婦げんかが勃発する。ことビールに関して、この二人+叔父の争いは静かに激しい。)なのだ。
「あー、眉毛帰ってきよった」
「...トーニョ、お前仮にも父親に向かってだなぁ...」
ネクタイを緩めている父(眉毛)と早速真ん中の兄アントーニョがゴングを鳴らしているのを、母が苦笑しながらなだめている。どうにも反抗期に突入しているらしい兄は、最近とみに父とけんかが絶えない。
が、手を出しても絶対に勝てないと解っているので兄もせいぜいが口げんか程度で終わらせる。
所謂じゃれあいのようなものなので、最近では姉も母も口出しをしなくなってしまった。男の子同士のスキンシップよねぇと笑う姉に、はて母の性別は...と深く考えそうになったところで止めておく。
色々深みにはまりそうなので。
ちなみに、父は噂では昔ここら一帯を締めていたとか(注:本人はかたくなに否定している)、キングオブ眉毛とか(注:知り合いの髭っぽい人曰く)、元ヤン紳士とか(注:知り合いっぽい髭の人曰く)色々黒いうわさが絶えない。あと、地元のヤの付きそうな人たちに試しに自分がアーサー・カークランドの息子だと言ってみたら、全員に(見るからに偉そうな人にまで)土下座された。...本当に何をやっていたのだろうかこの人は。
そんな父親であるので、本気を出して怒れば非常に痛い。何って拳が。
たまに愛も痛々しい(空回りのだが)。子供を溺愛している割に表現がうまくないのがこの父の最大のかわいそうなところだろう。
末っ子で、念いりに可愛がられた感のあるアルフレッドとしては、非常に複雑な思いだ。
そこを、同じ不憫属性に見せかけながら割と仲裁のうまい母がとりなすというのがいつもの風景である。
「今日はライナ姉やん特製のボルシチやでぇ、親分の育てたトマトのサラダもあるで!たんと食いやぁ!」
総勢8名の食卓は実ににぎやかでアルフレッドは嫌いではない。
もともとパーティも騒がしいのも大好きなのだ。広いテーブルに一人でご飯を食べる方がよほどつまらないというのが信条なので、実に楽しい食卓を囲みながら、遠慮なく姉の手料理をかきこむのであった。



アルフレッド編終了。
書いてみたら意外と楽しそうな家族になりました。
2010/9/20up