*初めに、クジの解説をお読みください。
カップリングなどに地雷のある方、キャラ崩れなどが御嫌な方にはお勧めできません。
基本的には人名使用、解らない方はそこそこ解りそうな感じの名前を当てております。
『料理をして、食べさせる(作成者3、試食1)』のお題のもと、クジに導かれた結果、
恐怖の調理班:眉毛さん、ぷーちゃん、フェリちゃん
絶望の生贄もとい試食班:ロヴィ
となりました。
なんでクジ?と思われた方はまぁそんな気分だったということで。
ああ、出所は某動画ですね。と思われた方は、どうか通報などなさらないでくださいねー。
クジは管理人がノリと勢いできちんと引きました。某動画の投稿者様には一切の関連がございませんのでよろしくお願いいたします。
そして...
もっと平和な、各国の料理とか調べて楽しもうと思っていたお題であったのに、しょっぱなで眉毛様を引き当ててしまった自分の籤運がいいのか悪いのか...。
ただのグダグダなギャグでございます(笑)
どうしてこうなったのか。
原因を考え、経過を考え、そうして結論へと導く。
この作業は、実のところ便宜上大別されている所謂「理系」と「文系」などという系統に大差ない思考であることは言うまでもない。
そしてとかく、物事の真理を追究し、深層と真相へといたろうとする探求者においてはまさに、命題ともいえる作業であると言えよう。
思考を止めてしまったものに進歩は存在しない。
考えなくなったものに、勝利の女神はほほ笑まない。
だからこそ、ロヴィーノは今まさに、かつてないほどに。
必死になって、現在おかれるにいたった状況について、考えに考え抜いていた。
しかして、時に無常なる運命の女神はこうも言う。
―――避けられないから、運命というのだ。と。
「ヴェー、どうして卵が紫になるんだよー!ギル兄ちゃん、ギル兄ちゃんーっ!俺怖いよー」
「ぎゃー!!なんでスープにつめるだけで鍋爆発させてんだよありえねぇええっ!!」
さっきからひっきりなしに厨房から聞こえてくる弟と、そして今は亡き国の化身の必死の声に、ついに耐えきれなくなったロヴィーノは、真っ青な顔色で叫んだ。
「なんで俺がアーサー様の料理を食わなくちゃならねーんだよっ!!!!」
...結局のところ、ロヴィーノに微笑んだのは勝利の女神でも運命の女神でもなく、死の女神のスペシャルスマイルであったということだけはここで特筆しておくべきだろう。
どうしてこうなったのか、状況は数時間ほど遡る。
自宅でさてそろそろ夕飯の準備でもしようかとしていたフェリシアーノとロヴィーノの兄弟のところに、俺様一人さみしすぎるぜ!今日はヴェストが出張で留守なんだぜ!というギルベルトがビールとヴルスト、ついでにじゃがいもを手土産にやってきたのはまぁいつものこととして。
なぜかその数分後、さらなる来客があったのだ。
...取り合えず、その来客を見たとたんにフェリシアーノとロヴィーノは本能的に逃げかけた。
というか、殆ど泣きかけた。
紅茶を手土産に、らしくもなく縮こまって現れたのは...なぜか西の島国の化身であるアーサーで。
普段めったにイタリアなど訪れない彼が、どうしてここに来ることになったのか経緯はわからないものの、意外と面倒見のいい大人であったギルベルトはとりあえず三人纏めて家の中に押し込めておいた。
このままあと五分も放置すれば、いい大人二人を号泣させている眉毛の男として、アーサーが通報されかねない。
何かをして泣かせたならともかくとして、さすがに立っていただけで泣かれてしまってはかわいそうというものだろう。
「で?なんか用か?」
必死に陰に隠れようとしている兄弟をとりあえず後ろ手になだめておいて聞いたギルベルトに、顔を真っ赤にしながら(泣きそうな、ついでに消え入る声で)アーサーが言った言葉は。
「...料理を、教えて、欲しい...」
あまりにも意外な言葉過ぎて、とりあえずまた泣きそうになっていた兄弟の涙を止める威力を持っていたということだけは特筆しておくとしよう。
近年は改善されつつあるものの、お国柄国民の多くがあまり料理に興味を持たないこともあって、紅茶を入れる腕と料理の腕が対極に位置してしまったアーサーに、同情の余地があると判断して結局その頼みを受け入れることになったのは、ちょうどよく夕飯を作り始めようと思っていた時刻だったことが一つ。
国としては認められないながらも、なんだかんだと可愛がっている(わかりづらいが)某自称世界最小国家の少年に、「アーサーのご飯は美味しくないですよ!!」とはっきりと言われてショックを受け(子供の言葉は時に残酷である。正しいが故に思い切り心をえぐる点で)、料理の腕を改善したいと思ったという経緯にも、多少の同情がわいた。
ついでに、美食の国の化身である二人と、弟を育て上げてきてそこそこ手際のいい一人がいるということもあり、さすがに食べるものができるだろうと判断した事が一つ。
キッチンに四人も入るのは辛いので、一人はリビングで待機、二人でアーサーを教えて最後の一人が試食にしようと決めたのがつい一時間ほど前。(当番はくじ引きで決めた)
弟の料理の腕は信頼しているロヴィーノは、初めのうちは特に不安もなく、テレビをつけながらダラダラと過ごしていた。
けれども。
待てば待つほど、台所から聞こえてくる悲鳴が、切実に耳に迫って。
半刻程もすれば、自分がどれだけ愚かな選択を無策にも行ってしまったのかを実感する羽目となった。
...どうやら、彼の料理の腕前は、二人程度の補助では補えるものではなかったらしい。
もはや、そろそろ死刑台に上る囚人の気持ちを理解できるようになってきた。...いっそ、早く殺してくれ。
急に、爆発音や悲鳴がキッチンから聞こえてこなくなり。
びくりと背中を揺らしたロヴィーノの耳には、ひたりひたりと、廊下をこちらに向かって進んでくる確かな足音がいまやべったりと張り付いていた。
あまりにも悲鳴やら物音が怖いのでできるだけテレビの音量を上げていたのにも関わらず、まるで世界中で音はそれしか存在しないように、だんだん近づいてくるその足音が、この場を支配していた。
まるで金縛りにあったかのようにロヴィーノの身体は動かず、這い上がる寒気に脂汗が流れるのをどこか遠いところで知覚していた。
ひたり
ひたりひたり
ひたりひたりひたり
鼻を突くような異臭は、はたしてなにが起こったのだろうか。
ひたり
ひたりひたり
ひたりひたりひたり
どうして、なにもしていないのにつんと目が痛くなり、涙がこぼれてくるのだろうか。
おそらく次に目を覚ました時は自国の病院である確信を心のどこかで持ちながら。
ロヴィーノは、自分の籤運の悪さを心から呪い、そうして十字を切ったのであった。
あれなにこのホラー(笑)
くじ引きに眉毛さんが多いのは本当に単なる偶然です。
2010/10/17up