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弟の弟が弟
兄ちゃんとアーサー。こういうやりとりが好き。
結局、こいつの弟は反抗期だったんだよなぁと改めて思う。
だって、こいつの国はルールとマナーの国だ。
冬に使わない暖炉には夏に観葉植物を飾るのがルール。
舞踏会のドレスの色にだって決まりがあるし、電話のかけ方、手紙の出し方などなど。
果ては三つ揃えを着こなすことが紳士たる証で有り、きっちりと体の線に合わせたスーツに、文字通り『体を合わせる』のだ。
この話を聞いたときはさすがにあきれた。...だって、弟の国は自由に過ぎて服のサイズが体型に合わせていってしまったのに、元兄のこいつの国とくれば、服に自分の体型を合わせるのだから。
そこまで正反対にしなくてもよかろう。と若干の第三者として言わせてもらえばまさにそうである。
つまるところ、ルールとマナーの国と、フリーダムな人種のサラダボウルが綺麗に対比になったわけだ。
今日も今日とて、人んちで勝手に秘蔵のワインを開けて管をまく海峡挟んだ腐れ縁に、フランシスははぁ。と今日何度目か数える気にもならないため息をついた。
さっきから、何度つまみを作り直させられたことか。
「...坊ちゃーん、そろそろやめとかない?ね?」
そろそろまずい、止めておくか。
管を巻いているうちはいい。けれどもそのうち暴れだすから性質が悪いのだ。
「ほら、ネクタイ外して。...客間貸してあげるからな?な?」
「...んー」
最早、そろそろ眠りの世界に片足を突っ込んでいるアーサーの、軽すぎる体を支えて、完全に眠られる前に二階の客間へ。
リビングが凄惨なことになっているけれども、まあこれは明日責任を持って本人に片づけさせればいいだろう。...これくらいは、ちゃんとアーサーもやってくれる...はずだ。多分。
愚図るアーサーをなだめて寝かせて、布団をかけてやって。
ああもうお兄さん、なんて甲斐甲斐しいの!
なんて、呟いたところで誰も聞いていてくれないのだからむなしい限りだ。
自分もそろそろ疲れたから眠ろう、と寝室に足を向けていたところで。
『誰がお前の真似なんかするか馬鹿ぁっ!!』
...。
不意に、自分の腰ほども大きさのなかったころの、腐れ縁の声が何故か頭に響いてきた。
あれー、ちょっと待って―。もしかしてこれ、間接的にお兄さんのせいですか?
本当にあいつがちびだったとき、弟みたいに育てたのは自分で。(一応あいつに兄はいるはずだが、あまりよい関係ではなかったようなので)
そして、可愛さ余って...からかいまくった結果現在のアーサーが形成されたような...。
ついでに言えば、アルフレッドのことも、アーサーは構いまくって育てたわけで。
「...え、もしかして反抗期だったの...?」
口に出してしまったところで、誰も答えはくれないわけだけれども。
とってもsssでもこんなやり取りが好きです
2010.8.8up