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「そうだ、学校をやりたい」
始まりは、お決まりの彼の思い付きから。



ブレザージャケットとプリーツスカート



学校っていいですね、と某緑のほわほわ導師がうっかりもらした翌週、即座に世界初、国籍問わずの学校建設が始まり、完成に至るまでわずかに三月。
そもそも軍学校においては所謂学術的な分野のフォローも担うのが各国共通の見解で、つまりその逆の発想は一度もなかった。
所謂国を富ませるための教育であり、庶民はせいぜい読み書きと計算、一般常識で事足りる。
教会が開く青空教室がそれを担い、生活に余裕があればあるほど、私塾や家庭教師へとランクがあがる。(もっとも、それは一握りの話だが)
貴族の子息のための規範学校は例外的に存在するが、つまり純粋に学びやとして門戸を開く学問所は存在しなかった。誰の中でも勉強が好きなら軍人になればいい、というのが一般常識であったのだ。
医者などは貴族庶民を問わず命を預かるのだからかなりの勉学を必要とするが、比例してかなりの金額も必要になるので、目指すためには医者の家系に養子になるのが決まり。
必要な教育を必要なだけ。
余計なものなど必要ない。
そんな常識を、どこかからか取り出したピコピコハンマー(推定衝撃力:1t)であっさりと打ち砕き、貴族庶民を問わず奨学金も充実させた初の総合学校は、うっかりちゃっかりダアトへの献金を着服していた某ヒキガエルあたりをパトロンに、吉日始業と相成ったのであった。


「シンクー...お前、学校でくらい仮面取れよ...せっかくどっかの帝国皇帝がかなりノリノリになってデザインしてくれた制服が台無しじゃんかよー」
「うるさいよ別に仮面をつけようが外そうが僕の勝手だろ...ってまたマルクト行ってたわけ?!っていうか女子の制服のスカートがやたら短いのはそのせいかエロオヤジ!!」
「ふふふ、制服、似合っていますよアッシュ」
「サンキューイオン。お前も結構いいと思うぜ。」
「...。」
「アリエッタも、可愛いよ」
「!!うれしい、です」
ダアトに作られた学校、ということもあってマルクト、キムラスカ両国からかなりの人数が入学しそれぞれ勉学に励んでいるのだけれども。
まぁお約束というかなんというか、当然就学年齢にある彼ら...まぁ具体的に言うなら六神将年少組+何故か導師の制服姿も校内に存在していた。
六神将はともかくとして、導師の顔は広く知れ渡っている。
なのにどうして一緒に教室で授業うけてるんだろーなーとか最初は戦々恐々としていた生徒や教師達も、いつのまにやらなじんでしまっているあたり平和であろう。
ちなみにちなみに。
教師は広く一般から募集されているが、足りない部分にはボランティアとしてオラクルの人員も借り出されていたりする。
まぁ一部、びみょーにイイ笑顔で脅されたりあの手この手でいつの間にか教師役になっていたりなどと、ある意味いつもの被害を受けている巨漢やら博士やらがいたりいなかったりするのだが、まぁいつものことなので割愛。
お前らオラクルの仕事はどうした、とか突っ込むとどこからともなくライガの群れがやってくるのでご注意いただきたい。
さすがに連日学校に来る、というわけには行かないが、楽しそうに通っている様子を見てほだされているのか今のところ保護者もとい髭の反対がないのはおそらく一定確率でカメラ譜業を持ち込んで学校に潜入しては警備員につまみ出されている本人をみれば明らかであろう。
「俺、制服って着てみたかったんだよなー。学校も、行ってみたかったし!」
「...学校に通いたいって理由で学校作る馬鹿は初めて見たけどね」
「すごいですね、アッシュ。...モースからあんなに鮮やかに建設資金もぎ取る手腕に惚れ惚れしました」
...。
笑顔の導師に、一瞬口元の引きつったシンクは、取りあえず聞かなかったことにすることにした。
何だろう、最近この導師、開きなおってはいないだろうか。
遠慮なく漏れる黒発言に、どうして周囲が「慈愛の導師」なんぞと持ち上げているのかと首根っこ掴んで聞きただしたい気分だ。

「ところで皆、何部に入る?」
「は?部?」
これまた唐突に、聞いてきたアッシュに思わず聞き返したのはシンク。
というか、普段からこのメンツでいると、アッシュの意味不明発言に対して突っ込みスキルを持っているのが自分だけというかなしい現状なので、聞き返せるのはシンク、と記述するのが正しいが。
シンクの鸚鵡返しに、アッシュは何を今更、という顔で頷く。
「そ。部活だよぶーかーつー。せっかく入学したんだしさ?」
「は?なにそれ。...っていうか、入学自体強制だった気がするのは僕だけ?」
「細かいこと気にすんなって。でかくなれねーぞ?...ちなみに俺は剣術クラブ!」
「僕は調理部に」
「アリエッタ、お裁縫、したいです」
しかも何故か、全員すでに入るものを決めていたらしい。
いつの間に?!と思う一方で「付き合ってられないよ」とばっさり切り捨てたくもあったのだけれども、そろそろそれなりの付き合いになってきたこのメンツ、そんなことをしたら最後、めちゃくちゃ素で落ち込まれて彼を溺愛する周囲ににらまれるか、導師に無言の笑顔で終始くっつかれるか、アリエッタにべそべそ泣かれるかの三択なのでやめておく。
...切り捨てられないあたり、彼の優しさというものだろう。
「...帰宅部」
ぼそりと呟いた言葉のせいで、結局ぐちぐち言われるはめになったのはお約束である。



ちなみにそのころ、某国、某誰かさんの執務室。

「なーなージェイドぉ。いいだろー?自分のデザインした制服見てくるぐらい~」
「そうですねぇ『制服のデザインが終らんからしばらく仕事もってくるな!!』とか言って一週間ほど文官に悲鳴上げさせたのはどなただったかとりあえず思い出していただければ検討いたしましょう」
「俺だ!!だから行ってもいいだろ?」
「順接の使い方が間違っていますよ陛下。そして却下です」
「何で?!検討するって言ったじゃねーか」
「ですから、検討した結果、却下なんです」
「...けち」
「何かおっしゃいましたか?...ああそうですか。これくらいの仕事量では足りないからもっと増やせ、ですね?かしこまりました只今」
「うわちょまてお前この書類の山見ろよありえないだろ!」
「ええそうですねご自分のせいですね主に」
「...せ、せっかくあの制服着た可愛い女生徒が見れると思ったのに...」
「いい年こいたおっさんが何を言ってるんですか。犯罪ですよ」
「お前は不敬罪だ」
「おやおやすいませんねぇ」
「うがーっ!!!」


この後、皇帝が学校に飛び込んできて騒然となるかどうかは...
まぁご想像にお任せするということで。






短いんですが。
ファンダム2で、制服があったので脈絡もなく学校ネタです。
まぁ、単発ですけれども。
ちなみにディストは物理とかフォニム学、ラルゴは家庭科、リグレットは数学とか教えていたらいいなと妄想。
みんなで学校とか行って楽しそうなメンツを想像するのが好きです。
2008.5.18up