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当然のようにユーリが♀設定です。
苦手な方は回避プリーズ。
そして映画ネタです。ネタバレイヤーの方はバックしてください。
そして、かいてる本人一度しか見ていないので、おそらくはいろいろと勘違いしているかもしれませんがまぁ・・・ご寛恕くださいませませ。
女子でからんでいるのも大好きです。




「どうして、騎士になろうとか思ったの?」
例によって例のごとく、フレンと喧嘩をして部屋を飛び出し、犬舎で眠ろうかと足を向けたところで先輩騎士で自分とフレンの指導役でもあるヒスカとシャスティルに捕まった。
おいでおいでというように手招きされて、つれて行かれた先は彼女らの私室。
ほい、と渡されたのは予備の毛布で、ついで甘いホットミルク。
恒例のことなので、彼女らもすでに知っているのだろう。最近ではフレンと言い争いになった後はユーリは犬舎でラピードとランバードを抱きしめて眠る。
今日はどうやら、彼女らはここにユーリを泊めるつもりでいるらしい・・・自分でやっておいて何だが、彼女らに結構な迷惑をかけている自覚がある身としては、こんな風に気遣ってもらえるのは少しばかり、意外ではあった。
シャスティルのベッドサイドにユーリが腰掛け、双子がヒスカのベッドに腰掛けて後、シャスティルの口からその質問が飛び出したのだ。
「・・・別に、やることないし、給料がよかったから。それだけだって」
今日は雨のせいで、どうにも冷える。
知らずこわばっていたほっぺたが、ゆるゆるとホットミルクで暖められる感覚に眠気を覚えながら、それでもいつも通りの笑みを浮かべてひらひらと手を拭ってみせれば、双子の表情が微妙な色になる。
「んだよ」
「・・・あのさぁ。あんた、文句言ってるけど、ランバードの世話も、ラピードの世話も絶対さぼらないわよね」
「それに、雑用だってちゃんとやってる。雑だけどさ。任務も、よけいなことやって怒られることはあるけど、やるべきことを怠って怒られたことってないわよね。まぁ、遅刻やら寝坊やらはいつものことだけど」
途端、妙に神妙な顔になった二人に、まさかこれからユーリが一番嫌いな真剣なお説教にでもシフトするのかと、今からでも犬舎に逃げる算段を計算し始めたユーリの耳に、しかし降ってきたのは意外な言葉だった。
「あんた、本当に騎士団で何かをやり遂げたくて、入ってきたのよね」
ずり。
とりあえず、肩にかけていた毛布がずり落ちた。
両手でホットミルクを持っているので直すこともできなかったが、さっとヒスカの手が伸びて肩へと押し戻してくれる。
なんだか、彼女らの瞳が、下町の、自分を育ててくれた大人たちと同じ色をしていてむずがゆい。子供扱いのようで、少しばかりおもしろくはない。
同じ色の、二対の瞳がじぃっとこちらを見てくるものだから、先に負けて視線を逸らしたのはユーリのほうだった。
ふぅ、とため息をついて、そうしてホットミルクにちびちびと口を付けながら、小さく小さくつぶやく。
「・・・フレンのさ、親父さんが。下町を、俺たちを、命令違反してまで守ってくれた。大切なものは、守ろうとしなくちゃ守れない。・・・騎士団には、そういう風に、フレンの親父さんみたいに、何か大切なものを守ろうとする力を持てるって・・・できれば二度と、目の前で誰かが死んで誰かが泣くようなこと、なければいいってずっと思ってた、から」
「そっか。・・・ユーリは、フレンのお父さんを尊敬してるのね」
「あいつにとっては嫌いになっちまった相手かもしれねぇけど、俺は、俺にとっては、あの人が理想の騎士だったからな」
いつもだったら、こんなこと口に出しはしない。
特に、フレンの前では絶対に。
でも、今日はどうしてか・・・眠いせいだろうか、ホットミルクのせいだろうか・・・ユーリなりに心に秘めていた騎士団への想いが、ぽろりぽろりと転がって落ちてゆく。
そして、ヒスカもシャスティルも、それを黙って聞いてくれていた。
「・・・俺、親いないからさ。あいつのお袋さんと親父さん、本当の親父とお袋みたいに可愛がってもらっててさ。昔は二人で騎士団に入るんだーって言って、日銭稼いで稼いで、二人で一本の剣買ったりして、交代で使ったりもしてた。・・・あいつの親父さんが残念なことになって、あいつは帝都から引っ越して、まぁそれきりだったけど」
「まぁ、あんたが騎士らしくないのはもう、生まれつきの性格のせいだろうけど。・・・隊長も、あたしたちも、あんたの、あんたらのまっすぐさは嫌いじゃないわ。でも、騎士団は規律がなければ瓦解してしまう。それこそ、皆いろんな想いを持った人間の集まりだから。全部を守って大切なものを失えとは言わない。でも、誰かがやらなくちゃいけない役目があって、それがどうやったって自分の意志に反するときがある。あんたなりにそれはわかってるんだと思うけど、わかりづらいから反発しちゃうのかもね」
誰と、とはヒスカは言わなかった。
けれど、それは言わなくてもわかるから・・・同室であるフレンとユーリは、決して見ているものが違うわけではない。とらえ方が違っていて、けれどもそれに掛ける思いがどちらも同じくらい強いからこそ、曲げられないのだ。
・・・まぁ、ユーリとフレンの性格の違いも多分にあるだろうけれども。そればっかりは、治しようがないのだから。
「そのくせ息はぴったりなんだからたちが悪いわよね、あんたたち」
「んなことねーよ」
「そんなことあると思うけどなぁ。・・・ま、そういうことにしときましょうか」
女は生来口が上手いとはよく言ったものだが、交互にサラウンドで責め立ててられてはもとよりユーリに勝ち目などあるわけもなく。
くすくすと楽しげに笑う姉妹に、もうここは憮然と口を閉じた方がよけいなことを言わずにすみそうだと早々に理解して、ユーリは少しぬるくなったホットミルクをもう一口、すする。
「ほら、最近ずっと犬舎で寝てたんでしょう?そっち、使っていいわよ。私はヒスカのベッドで寝るから」
シャスティルが言って、ぽんと自分の座っている側のベッドをたたく。ヒスカもうなずいて、どうやら二人は最初から自分にベッドを譲るつもりであったのだと気づいてユーリは頬をかく。
床でも犬舎よりは快適だ(別段、ユーリはあそこで寝ることは嫌いではないが、藁があるとはいえ外で寝るのは毛皮のない自分にはそこそこ堪える)、と思っていたので、床で寝ればいいかと思っていたのだけれども。
先ほどから口で負け続けているところを見ると、ここで自分がいらないといっても気づけばベッドに押し込められているだろう・・・早々にあきらめたユーリは、サンキュな。と自分なりに精一杯の感謝を、二人へと告げた。
「「どういたしまして」」
ここへきた当初よりも、自分の口の悪さになれたらしい二人のそろった返事に、あぁシゾンタニアに着てしばらくたつのだと実感がわく。
何よりあの剛胆な隊長の元は、ユーリにとって心地が良く。
そして、認めたくはないが幼なじみの彼がいることは、自分の意志を忘れないための鏡となってくれている感謝が小さくあって。
そして、なんだかんだと自分とフレンの世話を焼いてくれる双子にもう一度小さく、小さく感謝の言葉をつぶやいて、ホットミルクのカップをカップボードにおいてお休みとつぶやいた。
おやすみなさい、とくすくす笑うようなあったかい声が降ってきて、そうしてユーリの意識は、すとんと眠りの縁に落ちていったのであった。


青春模様 その2



そろそろ(私が)恥ずかしい。
ごめんなさい、こんなんユーリじゃぬぇえええええっ!!とか石を投げられると私がへこみますので、勘弁してください。
そういう残念クオリティ妄想サイトですので、スルーでお願いします。
2009/11/1up