当然のようにユーリが♀設定です。
苦手な方は回避プリーズ。
そして映画ネタです。ネタバレイヤーの方はバックしてください。
そして、かいてる本人一度しか見ていないので、おそらくはいろいろと勘違いしているかもしれませんがまぁ・・・ご寛恕くださいませませ。
女子でからんでいるのも大好きです。




「でっかいのとちっさいの」
「隊長、セクハラっ!!」
ちょいちょい、とてまねきして双子を呼んだナイレンに、当の双子がほっぺたを膨らませた。
同じリアクションを同時にとるものだから、ある意味彼女らもこの隊の名物では、ある。
それでもきちんとそばにきて、指示を聞くのだから彼女らも心底怒っているわけではないのだが(まぁ、あきれてはいるだろうが)、最近この恒例のセクハラに、一人追加された。
「あと、特大」
「・・・ちょ、隊長っ!!」
「・・・最低」
双子のみならず、ナイレンがその言葉を口にした瞬間、部屋にいた数名の隊員たちの視線が一瞬でとある一名に向かったところをみると、皆思うことは同じであったらしい。
ただし、当の本人は「・・・特大?」とこてりと首を傾げているが。
リアクションを声にできたのは常のセクハラ被害者の双子のみで、ほかの・・・つまりは男の隊員たちは、その特大と目が合う前についと視線を逸らす。ある意味で息のあったチームワークが発揮されるわけだが、そこに加われない、まだこの隊に配属されて日の浅い青年が一名、逃げ遅れた。
そしてその逃げ遅れは、当然のように特大にがっつりとその視線をとらえられて逃げられない。
となれば、次の瞬間にくる台詞など、簡単に想像がつこうもの。
「・・・特大って、誰の何が」
「・・・///ぼ、僕に聞かないでくれっ!!」
特大・・・つまり新米のユーリ・ローウェルが、視線のあった同じく新米のフレン・シーフォに当然のように問いかけられて、顔を真っ赤にして怒鳴った。
この反応を見るに、フレンの方は特大の理由にさっさと気づいているらしく・・・かといってもちろんその理由を口にもできずに(それはそうだろう、彼はとにかく生真面目なのだから)、これ以上行くとゆだるんじゃないかというくらい、耳まで真っ赤かになってしまう。
さすがの鈍感なユーリでも、幼なじみけん同期のその様子になにか不信を持ったのか、こてりとまた反対側に首を傾げて問いかけた。
「・・・おまえ、熱でもあんのか?」
・・・訂正、やはり鈍感は鈍感のままであった。
あちゃあ、という思いと同情を込めた視線が、一挙にフレンへと注がれるけれど、当の本人にしてみれば「同情するなら助けてくれ!」であろう。
が、しかしこのことのほか鈍感なお姫様相手にうっかりと助け船を出そうものなら、出した自分ごと沈没させられるのは目に見えている。
・・・かくして、被害者というよりかはスケープゴートは一名に限られるわけであるが。
「だから、おっきいのとちっさいのと特大って、何のサイズなんだよ」
そして、相変わらずこう言ったことの空気を欠片も読まないお姫様の、爆弾が再び投下された。
ぴくり、と動いた金髪の肩に、はぁ、と双子のため息がやけに大きく響く。
以下、ここから先は、いつもの展開であることは予想に難くない。
「君が少しは慎みを持たないからだ!」
「はぁ?!何言ってんだよ、おまえ。頭おかしいんじゃないの?」
「おかしいのは君だろう!だいたい君はいつもいつも・・・」
「あーあーあーあーあーうるさいうるさい!!おまえは俺のお袋かっての!!」
「君みたいな子供は願い下げだ!」
「俺だっておまえみたいなお袋なんざいやだっての!」
「だいたい君はだらしないんだよ!いっつも部屋はぐちゃぐちゃ、シャワーを浴びれは床は水浸し・・・片づけるのは誰だと思ってるんだ!!」
「水なんかほっときゃ乾くっての!!細かいんだよおまえは!」
きゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃん
本人たちにとっては真剣な口げんかかもしれないが、周囲にしてみれば・・・何というか、かんというか。
争いの種をまいてしまったナイレンすらぽかんとしているほどだ。・・・唯一、ラピードは楽しそうにきゃんきゃんと鳴いて、ユーリを応援するようにフレンに向かって吠えているけれども。
・・・まぁつまり、子犬と同レベルということだ。
だんだん、見守る面々の視線がなま暖かいものに変わってきたのは気のせいでもあるまい。
腰まである黒髪をはねさせるようにしてぎゃんぎゃんとヒートアップしていく口論に熱をそそぐユーリに、さてそろそろ止めてやらないと金髪がかわいそうか、と心の中でため息をついたナイレンがようやっと、立ち上がった。
「あー、おまえら、ちょっと落ち着け」
自分たち以外の声が聞こえてきたことで、おもしろいようにぴたりと言い争いをやめた二人は、どうやら完全にここが仕事場ということを忘れていたらしい。
生真面目なフレンは、恥入ってすみません・・・と頭を下げたけれども、まだ納得のいっていないらしいユーリは隊長だろうとお構いなしに頬を膨らませた。
「だって、隊長が変なこと言うからじゃねーか。ヒスカがちっこくてシャスティルがでっかくて俺が特大って・・・確かに俺は女にしては結構でかいけど、俺が特大はともかくあの二人は身長一緒だろ?」
「・・・」
助け船を出しに着たはずのナイレンが、へんてこな表情で固まった。
いや、疑問の答えをユーリなりには考えていたらしいのだ・・・が。
「えーと・・・」
まさか、いつもの悪ふざけまじりのスキンシップが、ここまで自分の首を絞めることになるとは・・・。
剛胆で、竹を割ったような性格とされるナイレンですら、ちょっぴり反省するほどである。
「・・・ま、その。なんだ、あまりフレンを虐めてやるな」
「・・・訳わかんないっての」
「どうしても聞きたいんなら、せめて双子に後でこっそり聞け、な?」
「ちょ、隊長!!」
「なんで私たちが!!」
後ろから聞こえてくる双子の文句は綺麗さっぱり無視して、ナイレンはとりあえずふてくされていたユーリを納得させた。
これはこれでセクハラに当たるだろうが、この手の話題の説明を男側に求めるのは酷と言うものだろう。まだ、同性でやってもらったほうが、被害が少なくてすむ。
しかし、まぁ非はナイレンにあるのだから、この際双子とフレン、ついでにユーリに飯を奢ってやることくらいはせざるを得ないだろう。
未だに?マークを頭に浮かべているユーリの頭をがしがしとなでてやりながら、とりあえずナイレンは、自分の財布の中身と給料日までの計算を頭に走らせたのであった。
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トムと○リー的な(笑)
2009/11/15up