*無駄にユーリ♀化してますんで(単なる管理人の趣味)苦手な方は回避お願いします。
*ユーリは鈍い子(笑)
*フレンが崩壊中。ゴメンナサイ私フレン大好きです(言い訳になってない)
*そしてユーリ地上最強(否、世界最強)の黒獅子伝説が始まる...
好きこそものの上手なれ
カロルにとって、ユーリとはあらゆる意味で憧れの存在だ。
その腕っ節はもちろんのこと(この間、ギガントモンスター相手に平然と右手で殴りかかってダウンを奪ったユーリにうっとりしていたらリタにキモイと一蹴されたが)、その胆力、そして己の正義を貫く姿勢、自分のしたことに責任を持ち、やるべき事をこなす力。
色々なことを抱えているのに決して弱音を吐かず、悠然と笑って前を見据えるその瞳。
男言葉もユーリにかかればとても似合っているようにしか思えなかったし、ソレで居て少し目を伏せているときに見える睫の影が頬にかかるのはすごく綺麗で思わずどきりとしてしまう。
でもなにより、矢張りユーリは格好いいのだ。
大の男相手にしてもまったくおじけた様子もなく、タルカロンではレイヴンへの鉄拳制裁で容赦ないストレートパンチでレイヴン@35歳を壁際まで吹っ飛ばしたことは未だ記憶に新しい。あの時は絶対にユーリを怒らせないようにしようと固く心に誓ったものだ。
あの細身の体のどこにそんな力が眠っているのだろうか、ある意味イリュージョンである。(否、ユーリに言わせて見ればパーティの荷物ほぼ全てを入れて普通に歩けるカロルの鞄のほうがイリュージョンだというが)
異性への憧れと言う意味では違うだろうとは思う。カロルは正真正銘ナンが好きだったし、多分ユーリへの尊敬の念はむしろ姉とかそういう存在に置き換えるとしっくり来る類のものだと己で納得している。(...あんなアグレッシブな姉が早々いるかと聞かれると首を傾げたくなるが)
子供らしい憧れの念は、ときに大人が使うことの出来なくなる純粋な希望として昇華される場合がある。
カロルの場合もそうで。こうなりたい、という気持ちは素直に口から吐き出された。
黒髪の美女が此方を振り向くと同時、カロルは思い切って口にしてみた。
...その言葉が後々どんな事態を引き起こすかも知らぬままに。
「ユーリ!僕ユーリみたいになりたいんだ!どうやったらユーリみたいになれるかな」
「は?俺みたい?...なんねーほうがいいんじゃねーか」
身も蓋もない答えを返されて、カロルは思わず肩を落とした。
いや、ユーリはコレで素なのだ。何せ、真顔でさらっと、「カロル先生は十分いい男だから、そのまま成長すればいいんじゃないか?」なんていってくれる素敵姉御であり、過去その漢らしいセリフに何人の男共の心臓をわしづかみにしてきたか(注:本人に自覚はかけらもない)全く罪な人なのだ。...主に可哀想なのは、あの金髪の騎士団長代理殿であるが。
...いやまぁ、ユーリにそういってもらえるのは嬉しいのだけれども。
確かにカロルも、昔に比べれば自分は少しマシになれたかなと思える部分はあるけれどもやっぱりそれはユーリと旅をしてからの変化だと思うのだ。ユーリみたいに自分のやることに責任を持って、そして仲間たちを大切にしたい。そういう姿勢を見てきたからできたことだと思うわけで。
「そうじゃなくて!僕もユーリみたいに格好良くなりたいんだよ!!...なんていうか、頼りがいがあるようになりたいって言うか...」
一般的にレディというものは頼りがいよりもむしろ守りたいと思わせるほうが喜ぶと聞くが、勿論我らがユーリ・ローウェルにそんな言葉はかけらも当てはまらない。
...そんなことをいったら、前衛でどんな敵でも空中コンボで美しいおみ足から繰り出されるけりを惜しげもなく叩き込むジュディスも、何だかんだパーティ内上位の防御力を誇りアンドゥトロワの地獄コンボで敵のハート(と書いて心臓と読めばいいと思うのだがいかがなものか)を鷲掴みにするエステルも、オーバーリミッツからの以下略タイダルウェーブでボスだろうとなんだろうと戦闘不能まで解放しないリタも守りたいというよりはむしろ守ってくださいと土下座したくなる面子ではあるのだが考えたら負けである。
そして、守るべきはむしろ、心臓に魔導具を装着しており、装備品の事もあってやや体力の劣るレイヴンであったりする。エステルが特攻している際は主に彼が後衛でパーティメンツに愛を叫び続けるという不思議な事態が起こるのも珍しいことではない。
すらりとした長い腕を胸の辺りで組み、ふぅんと小首を傾げて見せたユーリは、カロルの必死の食いつきに少しばかり思案したようで、暫く空中に視線を泳がせたのちに口を開いた。
「つまりカロル先生は、頼られるようになりてぇんだな?」
「そう!なんていうか、任せて守るから!見たいな...」
ユーリの背中から常に発されているオーラはそんな感じなのだ。それちょっと片手でくるくる回すのはむりじゃないのねぇその細腕でどうしてっ?!と叫びたくなるような凶悪武具をぶんまわし、今日も最前線で敵を蹴散らす我らがユーリの頼りがいといったら半端ではない。
...ぶっちゃけ武器魔導具使ってても斧を片手で回転させるのは無茶じゃないかと微妙にカロルも思わないでもないが。
「...そうだなぁ、やっぱり俺はフレンと一緒にガキの頃からちゃんばらやってきたから、そのせいか?ままごとなんて趣味じゃなかったし」
っていうか、女の子にままごとに引っ張られても何故か旦那役ばっかりだったし。
自覚のないユーリのセリフに過去の騎士団長代理殿の歯軋りと苦悩が聞こえてきたような気もしたがカロルはすっぱりと無視をした。今はユーリの格好良さを習得すべきときであってああフレン昔から色々大変だったんだなぁなんて哀れんでいるときではない。
「例えば!どんな修行してたの?」
もしかしてコレで少しはユーリの強さが盗めるかもしれない。剣の強さだけが強さではないけれど、ユーリの背中をラピードみたいに預けてもらえるのならばそれはそれで嬉しいと考えたカロルは、興味もあって問いかける。
ユーリは、うーんそうだなぁと唸ると、おもむろにぱちんと指を鳴らした(その仕草すらも格好いい)。
「なんだいユーリ」
「あのさぁカロルが俺らの昔の修行法みてぇっていうんだけど」
「ははなんだそういうことならお安い御用さ」
「ええええええええ?!ちょ、なんでナチュラルに居るのさフレン?!」
「はは、ユーリに呼ばれたからだよ」
「答えになってない、なってないから!!」
ここは結界の外で、しかも見渡す限りの平原。
さっきまで影も形もなかった金髪がなんともナチュラルにさわやかにユーリの隣に立っていて、かつユーリもそのことに一切突っ込みを入れないものだからカロルが思わず突っ込んでしまった...いや、確かに忙しそうに世界中飛び回っているはずなのにユーリが闘技場にいくと必ず参戦してくるあたりバウルもいないのにどういう技使ってるんだろうこの人とか普段も疑問を持ちたくなるんだけれども、いい加減にナチュラルストーカー(自覚なし)じゃないのかこの人。...ザギよりはマシだがそれはさわやかさの点においてのみではなかろうか。
にこやかな笑みを浮かべているのにもかかわらず若干背筋が寒いのは気のせい...じゃない気がする。
「ほら、百聞は一見にしかずっていうだろ?俺らの修行法は我流だけど、見てたらカロル先生の修行法のヒントくらいにはなるかもしんねぇし」
「う、うん!そうだね!」
カロルの修行のため(いつの間にか戦闘関連の頼りがいに限定されてしまったが、まぁそれもあながち不正解ではないので気にしないことにする)わざわざ実演までしてくれるというユーリの太っ腹さに感激しつつ、カロルが返事をするのが早いか遅いか。
カロルの目の前を一陣の黒い風が横切った。
一瞬遅れてふわりと浮いた自分の前髪に、一体ナニが起こったのかと目をぱちくりとさせるよりも早く。
「円閃牙ぁっ!!」
剣も抜いていないフレンに、ユーリが恐怖のくるくるコンボを繰り出していた。一切の躊躇無く。
「え、ちょ、ユーリ何やってんの?!」
「まだまだぁっ!!」
「はは、また腕を上げたねユーリ」
「お前もなっ!!」
カロルの驚愕もよそに、ある意味二人の世界を作り上げているフレンとユーリは至極楽しそうに地獄絵図を繰り広げていた...なにせ、ユーリの剣を最低限の動きで交わすものの本当に紙一重なものだから時折そのきらめかしい金の髪が何本か宙に舞っているのだ。見ているほうの心臓には限りなく悪い光景といえる。
対するユーリのほうも全く手加減している様子はなくTP尽きるまでといわんばかりに様々技を繰り出しているものだから、くるくるくるくる忙しそうに回るその動きは単体で見ている分には演舞のようで大変美しい。が。
...ぶっちゃけ、そんなの鑑賞している心の余裕はカロルにはない。
「そろそろ交代だよ、ユーリ!」
「へいへい、ほらよっ!」
フレンがそういったかと思うと、ユーリの手からうまい具合にフレンの右手に手渡されたユーリの武器を装着したフレンが、次は攻守入れ替わったかのようにユーリへと剣戟を放ち始めた。
対するユーリもやはり舞うような動きでそれを避けていくわけだが、何本か風に舞った黒髪にエステル辺りが見ていれば悲鳴を上げそうだ。(エステルはユーリの黒髪を大変気にいっているのだ)
暫くそんな攻防戦を繰り広げた二人は、何の合図もなく申し合わせたかのようにぴたりと動きを止めた。
そして、タイプが違えど間違いなくどちらも最上級の美貌を誇る顔を、にこやかにカロルへと向けてくる。(...一瞬カロルは状況も忘れて顔を赤らめてしまった。)
「こんな感じだぜ」
「え...えーと...」
「昔は剣なんて一本しか買えなかったしね。でも手合わせはしたいし、ということで編み出した修行法だから、少し変則的だけど」
「...す、少し?」
「あ、大丈夫だって。ちゃんと当たっても峰打ちだしな」
「...いや、それ両刃の真剣...」
「まぁ昔はたまに直撃して悶絶とかもあったけど、いい思い出かな?」
「ばぁか、アレ結構苦しいんだぜ?お前は勝ちっぱなしだったからいいかもしんねーけど」
「...」
「まぁたまには昔を思い出すのも悪くないな。」
「そうだね」
「...僕にユーリと同じ修行法は絶対に無理だってことがよーくわかったよ。...うん、僕なりにやり方探してみるね。わざわざありがとう(丸腰でナンとやりあったら、間違いなくボク死ぬし)」
カロルは年齢にそぐわない大人スキルを有していたので、全ての突込みを封印してとりあえず二人に礼を言う...わかっている。この二人は自分に良かれと思ってやってくれたのだ。そこにはカロルへの好意こそあれどまさかそれがカロルの心臓に多大なる負担をかけているとは露にも思っていないのだ。
ユーリなど多分アレだ、可愛い弟に頼まれたからちょっと頑張っちゃいました☆くらいのノリだ。100%純粋に善意である。
ユーリは、そのカロルの言葉ににかりと白い歯を見せて笑うと、ぐりぐりとカロルの頭をなでてくる。
「ま、焦るこたぁないさ。...な?」
「うん、そうだね...」
大好きなユーリが頭をなでてくるのは子ども扱いみたいで少し嫌だけど嫌いじゃない。
ニコニコと此方を見ているフレンの視線もあったかいし、まるでおにいちゃんとおねえちゃんが増えたみたいにも感じる。
...まぁ、見た目は美男美女、いざとなれば二人と一匹で有象無象の魔物集団に突っ込んで叩きのめすという荒業をやってのける二人なのだが。(離れても魔神剣or蒼破刃、近づくのはいうまでもなく、ダメージ食らっても守護方陣と言う凶悪な技を持つ故にある意味単体で無敵)
(...ていうか、この二人とラピードだったら、大抵の物事笑顔で片付けそうだなぁ...)
フレンとユーリが背中合わせに立っているからこそ世界は平和なのかもしれない。
ぼんやりそんなことを思いながら、とりあえず今日はユーリのコロッケが食べたいなとカロルはそれ以上の思考を放棄することにした。
ユーリがナチュラルににょたなのは、「そのほうが何か光と影ってカンジでいいんじゃね?」という管理人の暴走具合によるものです。
フレユリなのかと見せかけて何か間違っている罠。
カロル先生は普通に可愛いと思います。
PS3発売決定記念に書き上げてみました。
とりあえず、『何々部屋』と名づければ何やっても赦されると思っている管理人の頭をどうにかしたらいいと思います。(ホントにね)
2009/4/6up