*ユーリとジュディスは戦闘狂(笑)ユーリはザギさんと殺りあうのちょっと楽しんじゃってる子です。
*下品?というよりもちょっとあけすけなユーリさんとジュディスにつき色々注意
*ユーリは管理人の趣味により♀でございます。苦手な方はバックプリーズ
「なぁなぁ、ジュディ」
「なにかしら、ユーリ」
なんてことはない、旅の途中で取った宿では、各々が好きなように過ごしていた。
女性陣よりも男性陣の割合が少ない(何せ、男2の女4、そしてラピードが1。)はずなのに、心はどこまでもおっとこまえな某二人のお陰でむしろ男前パーティと言っても過言ではないかっこよさを見せてしまう(前衛三人中、二人が女性でしかも一人は子供と言う罠)今日この頃であるが、まさか宿の部屋まで平等に一緒にするわけにはいかない。
が、たまには全員で大部屋ということもないわけでもなく、それに文句をいうような細やかな神経の人間(エステルはいい意味でも悪い意味でも寛容であった)がいなかった事もあり、現在がその状況でも全く気にすることなく全員がくつろいでいる。
それに、貴族の旅とは違い(否、エステルは正真正銘お姫様ではあるのだが)、それぞれが普通の金銭感覚を持ち合わせているゆえ、幾らブルーセフィラで荒稼ぎしようともしめるところはしめる!!という思考は不変のものとして捉えられ、大部屋ですむのならそのほうがいいではないかと言う結論に至るわけだ。最初のほうは大部屋と言う感覚になれなかった(嫌な顔をしたわけではなかったが)エステルあたりが少し戸惑ってはいたものの、今ではすっかり旅なれて、隣同士のベッドであるリタと楽しそうにおしゃべりをしている。
本日の真ん中のベッドはユーリとジュディス。当然、荷物を下ろして中身を整え、武器の手入れをしていたユーリが隣で同じく槍の手入れをしていたジュディスに話しかけるのは、大部屋ゆえ聞くともなしに聞こえてしまうもので。
「ぶっちゃけさ、戦闘で胸って邪魔じゃね?」
ぶふぅっ
これには、とりあえずお子様が吹いた。というか、カロルが吹いた。
せめて女性のみの部屋でやってくれれば良かったものの、カロルには聊か刺激の強い話であったらしい。
ぺったんと称されたリタは少し引きつり、やはりユーリやジュディスほどのものを持ち合わせていないエステルなどは、なんとなく自分のそれと彼女らのそれを見比べてため息をついている。
ちなみにラピードは部屋の中に入れないため、納屋を借りてそちらに寝かせてもらっており不在である。
ついでに言えば、レイヴンは武器の手入れをしているように見せかけてその視線をユーリとジュディスの胸元に釘付けにしていて、大変にやけた顔をしているのがバレバレであった。
ジュディスは、突如爆弾発言を投下したユーリにその瞳をおっとりと瞬かせてしばらく、そうね、と笑みを浮かべる。時にとても気をまわすことが出来るジュディスであったが、彼女の性格上面白い話であればさりげなく助長させるのが常でもある。ゆえに、次のセリフに一切のためらいはなかった。(彼女は、間違いなくユーリの発言によってパーティ内に走った動揺やら何やらには気づいている。その上でのこの発言である)
「過去には女戦士の村とかがあって、弓引くのに邪魔な右胸を切除してたっていう話よね」
げふっ
ジュディスのさわやか過ぎる口調で結構えぐいセリフに、第一弾を耐えたレイブンも吹き出して枕に突っ伏した。よくよく考えなくても少しばかりスプラッタな話だ。そこまでして武術にかけた古来の女性に賛辞を贈るべきなのか、そこまでしなくとも...と古来の風習との隔たりを感じるべきなのか、とにもかくにも突っ込みどころはそこではないが。
が、気づいているのかいないのか(多分ユーリは気づいていない、そしてジュディスは確信犯であろう)、パーティのフェロモン担当二人は、実に色気のありそうで全くない殺伐とした会話を嬉々として続けてゆく。
...時にセクハラにもなりかねないほどの会話であるのに、何故か楽しそうに。
「さらしまいて潰すのも、限度があるし苦しいし」
「特に剣の動きには邪魔でしょう?私の槍の動きはどちらかといえば大振りだけど、そっちはかなり細かい動きが入るものね」
「そうそう。しかもさ、鎧とか装備しようにも特注だろ?」
「動かない分には構わないけど、動いてしまうとやっぱりかえって邪魔なのよね、既製品だと。変につぶされるし」
「フレンなんかがっちり着込んでやがるのにあの動きだろ?...うーん、少し筋トレでもすっか」
「あら、でも貴方余り筋肉がつかない体質じゃなくって?どちらかといえばスピードタイプなのだし、瞬発力を殺してしまうのはいかがなものかと思うわ」
「そう考えると、いっそ男のほうが良かったよなー」
「あら、それじゃせっかくの女の武器が使えなくなるわよ?」
「いいよ、色気担当はジュディで」
「うふふ、でも女性のほうが関節柔らかいから、特有のバネも使えなくなっちゃうわよ?」
「う...そっか。うーん、今の剣術変えなくちゃ行けなくなるとまた戦闘の楽しさも変わってくるかぁ」
「そうね。まぁ腕力で押し切るかアクロバットに翻弄するかは本人の趣味嗜好だとは思うけれど」
「フレンの体当たり戦法はなー、俺には向いてないよなー。安定感はあるけどスリルがない」
「あら、意外とギャンブラーなのね、ユーリ」
「常に新しい風を求めていると言ってくれ。あー...後でつきあわね?何か体動かしたくなってきた」
「喜んでお相手するわ。一応殺傷力の低い武器にしておきましょうか」
「だな。さすがに街中で流血沙汰にでもなったらまずい」
話がどんどん弾んで、楽しそうにプランを練ってゆくフェロモンズ二人に、ようやっと回復したカロルが同じく何とか体を起こしたレイヴンに泣きそうな声ですがりついた。(否、半分以上すでにもう涙が目じりに溜まっている。)
「ねぇレイヴン...僕、何か二人が怖いんだけど...」
「...青少年に刺激の強い話題でも出してきたかと思えば、徹頭徹尾戦闘についてしか話し合ってない...将来恐ろしいわよ、おっさんは」
カロルの頭に手をおいたレイヴンのほうも、若干頬が引きつり気味だ。
が、一方残る女子二人は、ある程度もうこの手の会話に慣れてしまっているのか(はたまた、一方は純粋培養ゆえの順応力の高さか)いってらっしゃーいとかお気をつけてとか見送る方向へシフトチェンジしてしまっている。
リタなど、もう興味が薄れたようですでに視線は手元の学術書だ。エステルも日記帳を取り出して今日あった出来事を書きとめるべく荷物の中のペンとインクを探しており、なんというか先ほどからの爆弾発言からの一連の流れを切り取ると、各々のくつろぎモードが再び展開されているわけで。ひとえに慣れによるものであろうことが窺い知れる。
この会話に慣れてしまえるということは、一体普段女部屋でどんな会話が繰り広げられているのか、とか。
たまに滞在している街の外れのほうに新しい血痕があったりするのは(しかも複数)なんでかな、とか。
そんなおっそろしい疑問が漏れてこないでもない男たちは、チキンと言うよりも実のところの常識者であった。
「新技でも思いついたら、闘技場あたりで試そうかなー」
「あらいいわね、ご一緒させてもらうわ」
とりあえず、女性二人の瞳が怪しく光ったのを、男二人は即座に見なかったことにした。
闘技場にこの二人が出入り禁止を喰らう日も...遠くはないだろう。そんなことを、ぼんやりと思いながら。
青春アクロバティック
以前、ブログに乗せていたネタを加筆修正でサルベージ。
多分これからもちょこちょこと先行してブログにのせたものを加筆修正して載せていくのがヴェスペリア部屋のメインになりそうです。とりあえず設定が安定しないのは、取りとめもなく思いつくままに書いているからだったり(笑)
2009/4/19up